「彫刻色は金でおねがいします」というお問い合わせについて。
この季節になると、「彫刻色は金でお願いします」「彫刻色は金以外でお願いします」といったリクエストが増えてまいります。
申し訳ないんのですが、彫刻色に関してはご希望に添いかねてしまいます。
レーザー彫刻とは
当店の印字は、レーザーマーカーによる彫刻となります。
対象物の種類にもよりますが、基本的に、塗装を焼いてはがし、下の素材を見せる。という印字方法になります。PARKER IMなど、よくあるボールペンの母材は「真鍮」になります。またの名を「黄銅」またの名を「ブラス」といわれています。
(ブラスバンドっていうのは、真鍮楽器のバンドという意味だそうです。)
なので、基本的に、トロンボーンみたいな色だと思っていただければ。
塗装の種類にもよりますが、光沢のある金が出る場合と、マットな黄土色(黄色にちかいものから茶色に近いものまで)が出る場合があります。マットな黄土色が一番多いです。
こちらはPARKER IMモノクロームシリーズバーガンディBGT。クリーム色に近い印字になっています。
深追いするともっと別の色が出るかもしれませんが、大抵黄いろ系には変わりないです。塗装の色に合わせて、映える数値でデータを出しています。
トリムの色が銀色なのに、彫刻色が金だとおかしいと思われる方がたまにいらっしゃいます。その場合は、トリムと同じ色が出る商品をお選びになることをお勧めします。
色が選べる印字方法は?
当店では取り扱っていませんが、色が選べる印字方法は、印刷。ただ印刷が定着するものとしないものがあるそうなので、ペンの種類は限られてしまうかもしれません。
あとは、切削機で彫りこんだ箇所にクレヨンや絵具を入れるという印字方法もあります。当店ではモンブランなどの樹脂素材のものには、彫りこんだ箇所にアクリル絵の具を入れて印字しますが、金属製のものには難しいかなとおもいます。
ロットや条件によって微妙に変わる場合も。個体差の大きい商品はこちら。
とはいえ、ロットによって出る色が変わったり、個体差で大きい変化がある種類もあります。
こちらのCROSSコベントリーボールペン、人気のあるシリーズです。
この写真では、イエローゴールドがでていますが、個体によっては銅色に近い色が出てしまう場合もあります!これは完全に個体差なので、彫ってみないとわからなくて、お選びいただけません。一期一会のご縁をお楽しみいただければと思います。(もちろんどんな色が出ても視認性はよいです)
たまにこういうことがありますし、天候で違う場合とかもときどきありますので、ご容赦ください。
おおよそで、予測していただければ幸いです。
素材による印字の違い。
それでは素材によってどんな色で出るか見てみましょう。
↑真鍮にマット塗装、PARKER IM ヴァイブラントリングボールペンの場合、黄色がでます。これは安定してこの色かなという印象です。黒いボディにパッと映える彫刻色になっています。
↑パイロットカスタムヘリテイジ多機能ペン。こちらはアルマイト加工なので、白い印字になります。アルミの場合白が出ます。くっきり彫れますので、視認性は特によいです。ただ、塗装が白に近いものの場合目立たないです。
他に、オロビアンコのラスクリヴェリア、オロビアンコトリプロ、ぺんてるのケリー、プラチナ万年筆のダブル3アクションなども白がでますね。
PARKERジョッターボールペン、ソネットステンレススチールシリーズなど、ステンレススチール製のものは基本的に「黒色印字」となります。こちらは彫りこみのないタイプの印字です。
パーカーIMブラッシュドメタルGT。こちらはいろいろなデータを試した結果、彫りこみ印字が一番映えるという結果になり、こげ茶色に近い印字になります。
黒色印字と違い、一段彫りこむ形になります。塗装ではなく、素材そのものを彫りこむので、ちょっと時間がかかります。
白色印字、黒色印字、彫りこみ印字ってなに??
同じレーザー彫刻機でも、数値によって全く違うタイプの印字になります。
【黒色印字:こくしょくいんじ】
金属表面にレーザエネルギーを蓄熱させ、酸化被膜を生成することで黒く見せる印字です。
表面が平滑になることが特徴です。スチール製のものにはこれを施す場合が多いです。
【白色印字:はくしょくいんじ】
金属表面を荒らす事で、光を乱反射させて白く見せる印字で、基本波長のレーザマーカが有効です。
CROSSなどでよくあるクローム仕上げの場合、白色印字になる場合が多いです。
白色というほどではないですが、艶消しのシルバーになります。印字面以外は艶がありますので、印字したところの素材感のコントラストで視認します。
【彫り込み印字】
高いレーザエネルギーを照射し、印字面の金属を融解・気化させることで彫り込む印字です。
最後に
といった具合に、金属彫刻だけでもいろんなパターンを駆使して最適な彫刻を心掛けております。
なので、基本的に彫刻色はおまかせいただきたく存じます。
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